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死神の谷/フリッツ・ラング監督作品 [DVD]
 『グリム童話』にあり、我が国の落語「死神」(これはシルクロード・中国さらには韓国を経由して届いた説話)にもある設定を根幹として、異国への「憧憬」をラングが心ゆくまで楽しみながら創作しています。ただし、「俊徳丸とハインリツヒ」(いわゆる比較演劇あるいは文学・文化論における「血の伝承」)を肯定するわけではありません。むしろ、その逆説になる映画だと存じます。

 『聖書』の一節が「キーワード」となることも、ノヴァーリス著『基督教社会あるいは欧羅巴』の言辞を彷彿とさせます。E・T・A・ホフマンの著作の叙情的怪異譚もだぶってきます。映像も、現代のSFXと比べても見劣りがしません。いうなれば、古いがゆえに新鮮な感覚。また、最初に登場する役者たちも扮装を変えつつ、登場するという演出も巧妙です。

 「メトロポリス」も確かにすごい作品ですが、私は、こちらのほうが、さらに素晴らしいと感じました。それが、この値段、手に入れてじっくり観なければ「損」だと存じます。


 

地獄のプリズナー [DVD]
緊迫した中東情勢の中、機械の不良で投下されてしまった新型爆弾の処理に赴くデビッド・ジャンセン。
祖国平和の為に戦うイスラエル兵と、やはり祖国を守るアラブ兵の中、一人冷めた目で任務に
当たる姿が、コノ映画を”シリアス”なものに踏み止めています。
それでもイタリア映画のツボは忘れず、
・「ワーーー」と叫びながら”猫ひろしのニャーのポーズ”で倒れるアラブ兵士
・ワザワザ敵の待ち伏せしやすい場所で休憩するイスラエル部隊
・間の抜けたアラブの副官
・メガネっ娘スナイパー
・なんでウージーやねん!!
など、シリアスな作品として作られているが、お茶目なマカロニファンに楽しめます。
もちろん私はマカロニ映画ファンなので☆5つですが、一般映画の評価としては、
☆2〜3個相当ですよ。

 

アンダルシアの犬 [DVD]
 ジャケットにはシュールリアリズムとかシュールレアリズムとか書いてあったと思いますが、表記が統一されていないのと、どちらも間違いだと思います。シュルはフランス語なので英語のリアリズムと一緒にするとおかしいです。シュルレアリスムと表記しなくてはいけないのではないでしょうか。
 通常の物語がたいてい回収されるのに対し、シュルレアリスムは物語を回収しないことで隠された無意識を垣間見ようという、ある意味大変理論的な(頭でっかちな)手法だと理解していますが、この作品はあんまり頭でっかちになっていなくて、見ていて凄く面白いですね。
 冒頭の女の目を切る場面など、スプラッター映画の原点ともいえます。グロテスクな場面の連続はつながっていないようでつながっていて、ただイメージを並べているだけじゃなくて、ちゃんとイメージが広がって映画を前へ前へと進めています。
 女の脇毛がなくなって、男の顔に生える、とかいうアンマリなお笑い場面もあったりして、楽しめます。ダリやブニュエルの茶目っ気も伺えました。古い映画なので映像は劣悪ですが、今見ても非常に面白いです。15分の短さなので、物語がなくても全然飽きませんし。
 15分の短編なのにこれまでのDVDは結構高かったのですが、安いWHDジャパン版が出たのは大変に喜ばしいことです。

 

アンダルシアの犬 [VHS]
『黄金時代』(1930)で有名なスペインのルイス=ブニュエル監督の作品。シュールレアリズムの代表的映画で、何よりも「映画が暴力であること」を証明した作品。正直いって夢にまで見るので、気の弱い人はお勧めできない作品だ。

 


アンダルシアの犬 動画

死神の谷



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