北冬虫夏草
冬虫夏草の謎 |
「冬虫夏草」について、アマチュアの眼から丁寧にまとめた一冊。一つのものをみつめていると、そのむこうに世界が広がっているのがだんだん見えてくる。それはきっと生き物でなくてもいいのだろう。そんな楽しさを教えてくれる本である。
カメムシに寄生するものでも、どのカメムシに寄生するのかの統計調査や、世代交代の位相によって子実体も異なる形態があることなどの話はかなり専門的でもある。「この本で初めて世に出る冬虫夏草」のスケッチもある。マニアが好きではまっているだけ、に見える世界にも、奥には広い世界が広がっているんだな、とちょっと感動してしまう。 口絵のカラースケッチも、大きさ、採集地も表示して本格的である。 著者が同じ出版社から出している「わっ、ゴキブリだ!」は書いている対象が対象だけに、内容は真面目なのだが「怖いもの見たさ」で関心を惹きつけるようなところも少しあった。こちらは全体の構成や筆致は前著に似ているのだが「地味な」生き物を地道にまとめた真面目さが表にでている。 登場する、著者が採集の過程で関わった「生き物屋」さんたちの話も楽しい。なかなかの名言が飛び出して来たりもする。「一度でも実物を見るということは、自分の中に大きな変化が起こるものだ。」という著者の言葉は、そんな名言の中でも心に残った。綺麗な写真やわかりやすい丁寧な説明が、探せばすぐに手に入る(この本自身も含めて)昨今ではあるが、「ふうん」「へえ」と受け取るだけでは浅い。本の内容と共に、実際に自分の眼で、手で得たものの影響は大きいということを思い出させてくれた言葉であった。 |
冬虫夏草を探しに行こう―ゲッチョ先生の森の学校 |
筆者が教師をしていた時、生徒と共に野外へ冬虫夏草を探したことが書かれている。冬虫夏草はセミタケぐらいしか知らなかったが、他にも多くの種類があることには驚き。手書きのような挿絵もみやすくていい。ただ少々グロテスクなところもあるので、読む人を選ぶかもしれない。 |
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