![]() ユメノ銀河 [DVD] |
もうかなり昔にレンタルで見た「エンジェルダスト」のことが思い出される。
とにかく、怖かったのだ。異常犯罪の深層心理を扱ったような筋書きには よく理解できない点があったが、雨の降る夜の交差点での突然死や、 何かの回る音だけが聞こえる深夜のコインランドリーでの惨劇など、 音響と視覚による不安と恐怖の演出に感心して、この監督に注目するようになった。 さて、この「ユメノ銀河」では、怪しげな運転手と若くて多感な女車掌のドラマが、 コントラストを抑えた白黒の画調に、不安をあおるように時おりかぶさる音によって、 最後まで不可思議な緊張を維持しながら描かれている。 時代設定が古く、ノスタルジックな体裁をとりながらも、演じる若手の俳優たちが あまりに現代的な風貌でしかも寡黙な演技なので、そこがまた不思議な違和感となって、 映画に独特の雰囲気とリズムを作りだしている。 ラストの海辺でのエピソードが、この謎めいて暗いドラマを一気に別の次元へ 連れて行ってくれる。 |
![]() ドグラ・マグラ (まんがで読破) |
この本は、サスペンスものの推理小説です。
まんがで描かれているので、まるでテレビを見ているような感覚で読めてしまいました。 ある精神科病棟に記憶を失った青年がいました。 その青年の記憶を取り戻すことで、ある難事件が解決します。 そのために、精神科医がいろんな話をしていくというストーリーです。 ぐっと引き込まれるものがありました。 30分程度で十分読めました。 |
![]() ドグラ・マグラ (上) (角川文庫) |
まず、完璧に理解出来てる人がいないからというのが一つの理由です。
理解という言葉の解釈でさえ怪しくなってくる、そんな作品だと思います。 映画もそうですが、小説は特に、読み手によって捕らえ方が異なるもの。 この作品はその捕らえ方の違いがかなり強烈にわかれる作品だと思います。 100人居たら200人捕らえ方が異なってくる。 自分一人でさえ、読み返せば読み返すだけ捕らえ方が変わってくる。 なので、レビューがあてにならないのです。 そういう自分も、もう一度読み返せば、今書いているこのレビューは間違っていると感じるはずです。 言うまでもありませんが、このレビューもあてになりません。 ただ、簡単に人にオススメ出来ない本という事だけは、間違いありません。 それから、下巻の後半からは一気に読まざる終えなくなる魔力が潜んでいます。 では何を頼りにこの本を買えばいいのか。 とりあえず、この表紙の不気味さが魅力的に感じたり、かっこよさを感じたり、美しさを感じたりした人は、買ってみるのが良いと思います。 それ以外の人は、あてにならないレビューを参考にして買わなければ良いと思います。 最後に、ここに書いた事、文、全てに対して、責任を放棄します。 誰も褒めも責めもしないでください。 |
![]() ドグラ・マグラ (下) (角川文庫) |
単にミステリィといったカテゴリーではくくれない『宇宙』を持った日本文学史上例をみない作品だ。1935年の完成だが10年の歳月をかけ徹底した推敲に推敲を重ねている。小栗虫太郎『黒死館殺人事件』や、中井英夫『虚無への供物』とともに、日本探偵小説三大奇書に数えられるようだが文字の持つ力がこれほどまでに怒濤のように押し寄せ、読む者の心を不安定にしてしまう作品は世界中が探してもこの一冊だけかもしれない。
あらゆる意味で先駆的だ。『脳』に根ざすストーリー展開は現代本格の人々に多大な影響を間違いなく与えている。胎内で胎児が育つ10ヶ月のうちに閲する数十億年の万有進化の大悪夢の内にあるというエルンスト・ヘッケルの反復説を下敷きにした壮大な論文『胎児の夢』や、「脳髄は物を考える処に非ず」と主張する『脳髄論』に読む者は始めから翻弄され続け、区切りの無いストーリーに休む間さえ与えられない。 出てくるキャラクターもものすごく強烈だ。頻繁に笑い続ける正木博士vs若林博士vsあなたの脳の戦いが読了まで続けられる。読んだものは一生忘れられない強烈な一冊となること間違いなしだ。 |