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天国への階段 Vol.1 [DVD]
DVDで一気に全話見たが、登場人物のそれぞれが重いものを背負った近年珍しいシリアスドラマ。それぞれのストーリーが丁寧に作り込まれていて見応えは充分、テレビドラマというより長編映画を見ているような印象を受ける。
俳優陣もすばらしく、佐藤浩市の奥の深い厚みのある演技は勿論のこと、個性豊かなキャラクターのなかにあってひときわ異彩を放つ津川雅彦、大塚寧々の寂しい女ぶりも実に切ない。新人の宮本真希も鮮烈だ。が、なんといっても個人的には加藤雅也の「児玉専務」萌えなんである。柏木の右腕としてストイックな辣腕ビジネスマンでありながら隠すに隠せぬ裏の顔。柏木のために人知れず自らの手を汚すときの、端正な顔が修羅と化すその一瞬。派手な流血場面がないぶんむしろ眼差しに宿る凄みが尋常でない。衣装ひとつとっても、一見地味なスーツに見えてシルエットがやっぱりクロウトだったり、さりげにゴツいシルバーのリングが指に光っていたりで裏の社会を歩いてきた男を匂わせる演出は心憎い。9話目で、ひとり死地に赴く前に柏木に煙草を貰い極上の笑顔を見せ、しかるのち背筋をのばして出てゆく姿はヤクザ映画の王道だったりするが、ツボを心得た演出はさすが。(しっかしありえねーあんな専務、のツッコミはこの際なし)奈緒子との絡みでも抑えた切ない表情が胸を衝く。
演じる加藤雅也の言葉通り「記憶に残るドラマ」になってしまった。
惜しむらくは、テーマソングとも言うべきツェッペリンの「天国への階段」が著作権問題か使用されず、DVDではクラシックに変えられていたことだ。
「モルダウ」は大仰だし、「くるみ割り人形」はあわないと思うなぁ。。。
なので1コ減点で星よっつ。

 

流星たちの宴 (新潮文庫)
あの麗しくもおぞましいバブル時代のさなか、
最もそのバブルに近かった男の話である。
完全に男の夢とロマンティシズムの産物であり
そこに感情移入できなければ醒めてしまう語り口でもある。

無味乾燥な世界の住人でありながら、
ネット長者たちがことある毎に夢を語るのは、
どこか自分の生き方にロマンを求めたい男の
共通した性なのだろうか?

横森理香『ぼぎちん』と同じ時期・同じ登場人物が描かれているが
女性の横森が極めて客観的・冷静に事態を見つめているのに対し
男性の白川が主観的に、夢にうなされ、バブルに踊っているのには
滑稽を通り越して悲哀も感じてしまう。

舞台を兜町から六本木に移して、新たなバブルが産まれた昨今、
過去から現在を照らす、再読に値する作品であろう。

 

海は涸いていた (新潮文庫)
生い立ちを隠し、異父妹や昔の仲間の幸せのみを祈って静かに暮らす主人公。
そんな男が、皮肉にも昔の仲間との再会をきっかけに事件に巻き込まれ、自分の過去とも交錯をして、大切なものを全て失う危機を迎える。
淡々と半ば世を捨てたような男に、大切な人を守るため、かつての激情が蘇る。
しかし、その激情は、かつても、そして今回も男を幸せから遠ざける結果を招くものだった・・・。
敏腕刑事(この刑事もなかなか魅力的な人物に描かれている。情はあるがクールな仕事人)の登場から結末に至るまでは、主人公の「大切な人を守りたい」という愛情や「状況を打開せねば」という焦燥が伝わってきて、一気に読ませる。
ラストは・・・涙なしでは読めない。
力作、一読の価値あり。

 

捲り眩られ降り振られ (幻冬舎文庫)
無頼派の代表ともいえる白川道の競輪日記。
それはまさにギャンブル「道」とでも呼ぶべき
美学が満載され、競輪に興味が無くても白川ハード
ボイルドが好きならきっとはまると思います。

また、競輪に関するエッセイの合間に、白川夫人である
文芸誌編集長中瀬ゆかり氏の幅広い人脈で実現した
ベストセラー作家のリレー競輪エッセイも読めて2倍お得です。

さらに、最後は本格ミステリでもお目にかかれないような
ものすごい「オチ」が・・・
思わずひぇーと叫びそうになってしまいました。

 


白川道 動画

岐阜県 白川 道の駅で突然の大雨



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