![]() 原色の街・驟雨 (新潮文庫) |
とても昭和20年代に書かれたとは思えない時代を感じ させない文章にまず驚いた。 娼婦との揺らぐ人間関係を描いた「驟雨」をおもしろく 身につまされる思いがする。娼婦だったときには心を探 主人公の繊細な心の動き、映像が目の前に浮かんでくるよ |
![]() 夕暮まで (新潮文庫) |
吉行さんが亡くなって、もう7,8年経つのか。大好きな作家で、その乾いた文章と、描かれる男女の心理描写が大好きでした。この作品も、乾いた文章、省略の駆使、全体に漂うニヒリズムがなんともいえず好きでした。男女の心理の機微に、大きく感動した一篇です。個人的には吉行さんは、短編のほうが好きですが、長編の中(かなり短いけど)では、この作品が一番とっつきやすくて、お薦めです。 |
![]() 好色一代男 (中公文庫) |
他の西鶴作品は研究者が訳したものを読んだのだが、この作品だけはこの訳者で読むべきだろうと思った。訳文はこなれていて、注釈も少なく読みやすい。さらに本文と同じぐらいの訳者覚書の長さも気に入った。
タイトルから、もっと艶っぽいシーンが多い内容かと思っていたのだが、そうではなかった。早熟な主人公世之介の成長の物語であった。 印象的なのは女の心根の色々あることと、その矜持だ。はしたなく意地汚く金に執着する女郎があると思えば、一流の太夫や普通の女性でありながら凛とした姿もあって世之介ならずともハッとしてしまう。 お大尽の頃の遊びで、太鼓持ちを集めて郭に上がり、二階の窓から謎かけよろしく駄洒落の振りになる品物を差し出すと、周りの郭の窓からそれを受けて品物や動作が次々と繰り出され、あたりの店の女や客が表に出てそれを眺めてやんやの喝采を送るシーンがあった。粋な旦那と太鼓持ちによる教養とウイットの応酬は大人の遊び、お金を消費するだけではなく智恵を消費する遊びという感じだ。 |