蛇にピアス [DVD] |
ピンポン、プルコギ、シェイディグローブのARATAさんは、家族で楽しめました。
ゴハンを囲み、DVDを流しっぱにしていると、心地よい声ですね。 こちらは、くれぐれも体調のいいときに観てくださいね。 大切な人と見ると気まずくなりますから、一人でお楽しみ♪ 蜷川監督の一連の作品は、観終えたあとに震えが来ます。 今回は、「ふぅん」て感じ。自分にとっては、やおい文学と同じ。 自分が痛い事されたり、犯されるわけでもありませんから。 映画ではわかりづらいセリフも、原作を読んでいたので楽しめました。 あ〜んなことやこ〜んなことを期待していると、ちょっと違う。 吉高さんのスレンダーボディが、アラタさんで隠れてしまうんです。 思い出せるのは、アラタさんの丸いオシリだけ(泣)。 |
カフカ 田舎医者 [DVD] |
凄いアニメーションです。私はアニメには詳しくありませんが、アニメーションの歴史の中でも最高峰の一本ではないでしょうか。
これももの凄い描線の多さ。しかも、複雑です。すべて手描きなので、変幻自在に細かく位置を変え、画面が微妙に震え、変形します。手持ちカメラでの撮影で、ピントも移動し、2次元的な移動と3次元的な移動が同時に起こる面白さ。「頭山」からさらに進化してまったく見たことがないような映像になっていました。 一コマずつ細かく動く映像は強烈にフィルムを感じさせ、ゆがんだり膨らんだりする人物や建物はドイツ表現主義を連想させます。原作はカフカなので起承転結のある話ではなく、ブラックユーモアといっても笑えないのですが、とにかく絵の素晴らしさに感嘆しているうちに終わってしまったという印象。 山村アニメーションの特徴は手書きの描線の多さと輪郭の揺らぎですが、それがカフカの原作と出会って最大限に生かされていると思います。 山村浩二は「商売は全く考えていない」と言い切っている人で、この作品も商業ベースでは制作は不可能な芸術でしょう。山村浩二にとって「頭山」を超えて代表作となるだけでなく、日本のアニメーションの代表作ともなる大傑作だと思いました。 正直、話はよく分からない部分もありましたが、ストーリーなど全く分からなくても面白いし興奮しますし、感動出来ると思います。こんなアニメーションの表現があったんですね。電子楽器オンド・マルトノによる音楽も素晴らしいです。 |
吉高由里子 フォトエッセイ 吉高由里子のあいうえお |
同時発売の写真集よりも断然こっちです。 チャーミング、毒、綺麗、おっさんと彼女の事が全く、わけわからなくなりますが写真も可愛いですし読み物としても良い。 麻生久美子さんの吉高由里子評も面白い。 彼女の裸よりも頭と心に興味がある人に、オススメ。 ある意味、映画や写真集よりもこっちの方が裸です。 |
蛇にピアス (集英社文庫) |
スプリットタン。舌にピアスを入れ拡張していき、蛇の舌のように先が二つに割れている状態にすること。
スプリットタンという言葉を知らなかったので、冒頭の「スプリットタンって知ってる?」という書き出しから興味を引かれた。 芥川賞を取ったことでも話題になった作品だが、賞を取っている取っていないに関わらず、ひきつける力は持っている。 著者は若いらしい。背景の描写は淡白だが、さらっと読める今っぽい文章はうまい。 時代性を取り入れた退廃的な作品だが、若者が持つ自暴自棄なリアルさと「なま」な現実を生きていない非現実感が良い配合で描かれている。 結末が綺麗に決着がついていないところが小説としての完成度を下げている気がする。 作品の性質上、読者に判断をゆだねる必要もない気がするのだが。 文庫化にあたり、結末を変えていると聞いたが、どの辺を変えているのか解説にも載っていなかったのが残念だった。 |
ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ |
私的なベスト3は、第三位・金原ひとみ。若夫婦・光と葵が直面する葵の出産。怖い。ごく普通の出産が、物の怪なんかよりずっと怖くてリアル。葵のマタニティー・ブルーを、光は理解できない。ごく普通の愛し合う夫婦なのに。男と女はこうして千年わかり合えずにいるのだとリアルに感じてしまう。胎児の性別を聞いて、なぜかパニック状態に陥り、光に悪態をつく葵に対して光のかける言葉が「葵、やめなよ。赤ちゃんに聞こえる」。千年経っても男はこういう無神経さをさらけ出す。
第二位・桐野夏生。女三宮が過去を振り返る。かつては光源氏と言われた貴公子だった六条院様は“祖父というには早いですが、歳を取り過ぎて”いて、女三宮は“幼い時の紫の上様”と比べても“今の紫の上様”と比べてももの足りなく思われ、“六条院様に何度も叱られ、貶され、しているうちに、自信のない縮こまった”気持ちになる。老いて嫌みったらしく、嫉妬深くなっていく光源氏の描写は秀逸で、驚くばかり。みごとな黒源氏だ。 そして第一位・町田康。ファンの欲目を差し引いても、すごすぎる。末摘花に対する源氏の思い込みや妄想が町田節で展開するのだが、もう本当にこの人の日本語は凄いです、一字一句めちゃくちゃおもしろい。読んだそばから読み返します。末摘花の琴を他の部屋で聴いていた源氏が、命婦に「もっと聴きたいんだけど。っていうか、向こうの部屋で聴きたい。襖越しだと音がミュートされてよくわかんない」と言うと、命婦が「でもどうでしょうか。こういう貧乏な生活してるから服とかもあれだし、いま紹介するのって向こうに逆に悪い感じがするんですけど」と答える……ああもうっ、絶対読んでほしい。源氏や頭中将の嫌らしさも絶品で、ラストはなぜか一気に虚無的に。最高。 あれ?気がつくと、嫌な源氏ばかりがおもしろい。原典がとにかく源氏はベリークールって刷り込みだから、少し食傷気味だったのかも。 |