それから [DVD] |
夏目漱石先生の本を完全映画化です。さらに主演に松田 優作さん!さらに個人的に気になる役者さんである小林 薫さんも良かったです。また、藤谷美和子さんも見終わった後に頷けるキャスティングだと思いました。
映像化するにあたって恐らくいろいろ考えられたのだと思いますが、最初にこのキャスティングを誰が思いついたのかが、1番気になりました。代助を松田さんが演じる、と聞いて最初はとても意外に感じていました。松田さんのイメージはどうしても刑事や激情的人物であって(あ、もちろん私の個人的見解です)なかなか代助のようなキャラクターが思いつかなかったのですが、これが見事な代助なのです!なるほど!と原作を読まれた方ならきっと納得できる演技です。松田さんを私はよく見たことがなかったのですが、自分の演じるイメージをここまで壊せてしかも幅広く、それでいて深みのある演技をされるなんて、本当にビックリです。 原作を読んだ方も、またそうでない方も、とても忠実に映像化した「それから」です。私はこの作品をもって不倫作品というのはどうか?と考える者ですが、このカタルシスとロマンスを先鋭化した題材に非常に上手い『間』と『影』を用いて映像化した監督に拍手です。 原作を読まれた方、および日本映画が好きな方にオススメ致します。 |
坊ちゃん [DVD] |
1977年公開作品で、血気盛んな坊ちゃんを演じるのは、若き日の中村雅俊。
深く親しまれている原作は、度々映画化されているが、本映画作品は、かなり現代風のアレンジが加えられている。 特に印象に残るのは、赤シャツと野だの、すっとぼけた陰湿ぶりだ。 このネチネチとした態度は、原作よりも、ずっといやらしくて、大変面白い。 山嵐は、思った以上に質実剛健で、正義感が強い。 原作では、当初山嵐は、坊っちゃんにとって、敵なのか味方なのか分からない。 本作品では、そういう面は無く、こんな形でうち解ける事になるのは、現代風テイストだ。 坊っちゃんの布団に、大量のいなごが入れられる場面は、観る前から期待したが、もっと派手にやって欲しかった。 ただ、うらなりの送別会での、鉄道数え歌を歌った「盛り下がり」具合は、見事だ。 最後の乱闘騒ぎは、なかなかの迫力だ。 ただ、本作品のクライマックスは、原作の様な悲壮感は無い。 むしろ、原作とは大きく異なり、ハッピーエンドの、感動物語となっている。 こんなアレンジは、安っぽいと感じられるかも知れないが、原作の現代風解釈として、面白いと思う。 あまり、文学の香りは高くはない。 それでも、何より、楽しい作品に仕上がっている。 |
それから [VHS] |
夏目漱石がいかに現代の映画になる得るかがわかる良い見本。モリタらしいしゃれた感覚で描き出された明治が実に美しい。俳優もみな素晴らしい。松田優作、小林薫、藤谷美和子。特に 藤谷は この後プッツン女優として迷走するわけだが この映画を見る限り あの迷走は日本映画の大損失であったことがよくわかる。それにしても 森田も早熟だった。この後の作品が「そろばんづく」というトンネルズを起用したコメディーであったが 既につまらない作品であった。その後の森田も正直迷走しているといっても過言ではあるまい。いくら優秀な監督でも傑作と言われる作品はいくつも作れないわけである。早熟森田の その後の磨耗ぶりも 日本映画の損失である。 |
こころ |
漱石の「こころ」をドラマCDにしたものです。
キャストの声でこころを理解するチャンスとばかりに聞きました 「先生」と「K」は大学の友達。二人の下宿先の娘に二人が惚れ、焦った「先生」は娘にプロポーズ。それを知ったKは自殺 先生はその後、後悔やら葛藤やらに悩まされて自殺 そんな「先生」は自分の人生を遺書に記し「私」に送り、人生の役に立ててね。という話です。 ●話は「先生」の遺書の内容であり「先生」目線で展開されているので、速水奨さんがメイン これが良かった!先生役に速水さんピッタリ★ 「くそ〜」って言うシーンは上手でした。さすがベテラン ●友達のK 石田彰様 ストイック人生を歩みつつ、中身は弱い人間の葛藤役に、これまた良い感じ★ ●吉岡はプレイボーイ役なので三木眞さんがフツーに配役って気がしました ●私役の宮野真守はドンピシャな配役では無いとは思うけど、当たり障りの無い声なので、選ばれたかな?って気がしました 台詞少ないです(涙) 重い話なので、聞くのが若干辛かったで★3つにしたいのですが、 速水さんの役がハマッていたので★4つの評価で |
脳力トレーナー ジグソーパズル 音読・夏目漱石編 NJ-001 |
実に面白いです。 頭が良くなりました。 |
漱石の漢詩を読む |
本書を象徴するような「末期の吟」を要約してみたい。
大正5年11月20日の詩。翌々日から病床につく。(12月9日逝去 50歳) 漱石最晩年の漢詩は、ほとんどが七言律詩。この八句形式の尾聯二句を書き下し文にすると、 「眼耳双つながら忘れ身も亦た失い/空中に独り唱う白雲の吟」 この部分の典拠として『方術列伝』「薊子訓」を引いてこう述べている。神仙の術を心得た人はこの世を見限り、仙人の郷に入り、二度と帰ってこない。そのとき、どうやら特に別れの言葉を交わさなかった。ただ、その日あちこちに白雲が湧いた‥ここのところを漱石は思い起こして最後をこう結んだと推定する。「自分が世を去ったその徴に、あるいは生きている人たちへの挨拶に、あちこちに白雲を立たせた」 漱石は最期の境になって文学的境地「空中に独り唱う白雲」をさらりと詠ったとみる。言わずとも「則天去私」を暗示していよう。これが専門の漢文学者ではない内向の作家古井由吉の【満を持した】結語とみたい。 |
こころ (新潮文庫) |
子どもの読書感想用に購入したのを何カ月もかかって読みました。
読んでおいて損はない一冊です。 人間の「こころ」のうちの、苦悩がひしひしと伝わってきます。 全体の構成力にも圧巻です。 特に、「先生」の告白となる後半は、ぐいぐいとものすごい力で引き込まれてしまいました。 |
それから (新潮文庫) |
夏目漱石前期3部作第2弾。とある人は、本作から漱石の主題が始まったという。
前半は淡々と話が進む。正直退屈。 後半は、主人公代助が友人の妻三千代を放っておけなくなり・・・ いくら代助が高等遊民(ニートではない)とはいえ、個人的には平岡に同情したい。 さて、結末がちょっと凄いです。 世の中が動き出す。目の前は真っ赤。何だそりゃと思う人もいるかもね。 結局、代助と三千代がどうなったか描かれていないし、それからどうなったのかは謎。 漱石先生の小説はやっぱり難しいですな。でも昨日、知るを楽しむの再放送を見て 少し分かったような気がする。 |