連句アニメーション 冬の日 [DVD] |
まずは、この作品に参加している作家の顔ぶれが 凄すぎる・・・。日本のアニメ現場のプロ達が選ぶ 「世界と日本のアニメーションベスト150」の見事 第1位に輝いた、ロシアアニメの巨匠ユーリ・ノルシュ テイン初め、この作品の企画者でもある人形劇アニメの 巨匠・川本喜八郎、最近は任天堂ゲーム「ゼルダの伝説」や 「ポケットモンスター」、「『スーパーマリオ』シリーズ」の アニメーターが参加している夢の共演である。 オムニバスのアニメ作品は数あれど、その中で代表的な3本を そしてこの「冬の日」である。極論を言えば、この3本さえ 購入したほうが良いだろう。 |
赤色エレジー [DVD] |
懐かしの名作劇画の映像化。冒頭、壮年の男性(原作の漫画家であり本作の監督でもある林静一さんらしき姿かたちの人物)が、かつての4畳半を訪れ過去を振り返るというシークエンスから物語は始まる。しかし、林さんご自身は原作を描いていた当時には同棲経験がなかったそうで、また、主人公のように東北が故郷でもないとのこと。林さんも職業アニメーターであったことから、『赤色エレジー』があたかも私劇画であるかのように「誤解」(もっとも林さん自身それを楽しまれているように見えるけれど)されることも多いようだが、この物語は案外クールな視点から描かれているように思う。物語を断ち切るかのような、ラストシーンでの「幸子」の所作―全編新作の絵そして色彩―が本当にすばらしい。 |
赤色エレジー (小学館文庫) |
日本には「ハイク」という詩形式があり、池にカエルがとび込んだ、という記述のみによって宇宙全体を表現する、と学びましたが、あまり信じてはいませんでした。私は間違いを認めなくてはなりません。今、『赤色エレジー』に出会った後では信じられます。狭く貧しいアパートメントに生起する簡素なマンガストーリーが何故、こんなにも広大な世界を思わせますか。ほんとうに不思議です。何も描かれていない余白には「ZEN(禅)」の気韻が満ち、何も説明しないショットがすべてを語り、直接エロチックな描写はないのに逆にそれが、あるいは沁みわたるようなエロス。これが「ハイク」精華であるのは大きな奇跡で、東洋の魔法です。横四段に仕切られた画面コマの中で空を仰ぎ、肩を揺すり、ポケットに手を入れたまま俯いて走り出す一郎の、大いに単純化された黒い配置は、写真集で見た「竜安寺」の石庭のようです。大胆で精妙な人物カタチの動きには林静一のアニメーターとしての経験の投影が明らかで、あらためてアニメは現代日本文化の象徴であると、想起されます。これを読まない人は可哀想です真実。 |
小梅ちゃん―初恋すとおりい |
いい話 なんだけど終わりかたが奇妙 と言うか気になります。 続編は出るのでしょうか・・・。 |
日本の名詩を読みかえす |
「薔薇ノ木ニ/薔薇ノ花サク/ナニゴトノ不思議ナケレド」
この新鮮無垢な詩は荒れ狂った北原白秋の心の海をなだめようとするときに生まれた。 「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふり積む/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふり積む」 わずか二行からなる「雪」と題する三好達治この詩は、多くの人に愛唱されている。今は失われた美しい日本の原風景。 「汚れつちまつた悲しみに/今日も小雪の降りかかる/汚れつちまつた悲しみに/今日も風さへ吹きすぎる」 中原中也の代表作品、恋愛詩中の絶唱であろうが、「悲しみ」は失恋によるものと狭く受け取ることもない。 「夢はいつもかへつていつた 山の麓のさびしい村に/水引草に風が立ち/草ひばりのうたひやまない/しづまりかへつた午さがりの林道を」 立原道造の「のちのおもひに」と題するソネット形式の詩。青春の痛みをあえかで優しい調べにのせている。 「けふのうちに/とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ/みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ」 「雨ニモマケズ 」の宮沢賢治が、妹トシの臨終を歌った絶唱。 本書には、14人の詩人の54編の名詩が載せられていて、それらの詩を声に出して読むと、いっそう詩情が深く迫ってくるにちかずいない。みずみずしい詩華集として編まれている名詩集(雅) |