冷静と情熱のあいだ
冷静と情熱のあいだ Rosso~ミラノに似た孤独~江國香織プロデュース |
どの曲もそれぞれどこか物悲しくて、なんだか懐かしさを覚えるようなメロディーで、とても落ち着きます。ドォーモが描かれた真っ赤な表紙の歌詞カードも雰囲気があって素敵です。 |
冷静と情熱のあいだ(通常版) [DVD] |
■結論:『これはすっごくイイ!!』
映画に関する賛否両論はあるかもしれませんが、少なくとも映画で流れていた音楽はすばらしい! アイルランド出身の歌姫『エンヤ』の挿入曲も素晴らしいですが、何といっても映画のタイトルでもある”冷静と情熱のあいだ”(そうです!あのチェロ青年が弾いていたなんとも心に残る素晴らしい曲です!)という曲は音量をMAXにして聞いています! まだ映画を見ていない人はまずはこのDVDを見てそこに流れている音楽と映画の雰囲気に浸った方がよいでしょう。 海外に留学経験のある方はその時の雰囲気を思い出しながらこの音楽を楽しめばそれぞれの思い出の場面に最適なバックグラウンドとして思い出が鮮明にフラッシュバックすることでしょう。 学生時代の青く苦酸っぱいシーンも微笑ましいです。 お酒を飲みながら「素晴らしかった異国の人々とのふれあい、出会った人たち、みんなの顔を浮べながらこの曲を聞いて、自分を取り戻す」そんな時間にぴったりです。 『好きな人をずっと思い続ける』これほど素晴らしいことはないでしょうね〜 映画を見た後にゆっくりと自分の中で”冷静”と”情熱”の『あいだ(間)』というものについて考えてみてください。 そこにはきっと今の自分がいるはずです・・・ 追伸:あの「ハンニバル」でさえ撮りきれなかったフィレンツェの全容がこの映画には含まれているらしいです。 |
東京タワー プレミアム・エディション [DVD] |
全体に映像がきれいでステキな映画ですよ。音楽もいいし。ラブシーンも美しいという感じ。私は好きです。松本潤くんがとっても上手く演じていましたね。チャラ男っぽくしてるけど、でも実は繊細で優しくて…ものすごく存在感があり、引き込まれていきますよ。 |
東京タワー 通常版 [DVD] |
黒木瞳+岡田准一、寺島しのぶ+松本潤の2組のカップルの話を軸に、ストーリーは進んでゆくが、物語自体はあって無きが如し。ひたすら仮想的且つ非現実的な場面を追ってゆくのみ。
そういう意味では演技的に評価は出来ないが、黒木瞳の幽霊かと思うほどの存在感の無さもありなのだろう。彼女の夫役の岸谷悟朗の小人物ぶりもありがちだ。 むしろ脇である寺島しのぶが光る。特に酢豚を作るのを放り出して、松本潤に会いに来る場面は圧巻。松本潤もジャニーズ系では今一番伸び盛りなのは周知の通り。特に彼は共演者で磨かれるタイプだ。 しかしこんなありえなさそうな話があっても不思議でないのが東京の魅力で、東京という街が人を魅了してやまないということか。 ラストのパリの場面は蛇足。 |
冷静と情熱のあいだ [VHS] |
旅行で訪れたフィレンツィエを懐かしもうと映画をみた。 あらすじはメロドラマだが、町に溶け込んでいる竹野内がいい。 ぱっと華があるうえに画面のおさまりがよい。やり過ぎない演技、落ち着いた声のトーン。 昔の彼女を忘れられない男を情緒的に演じている。 一方ケリーチャンを「能面のような演技」と評した批評もあったが、私は そう思わなかった。むしろあれくらい生活感のない無国籍な女優が演じないとインパクトのない中途半端な作品に仕上がっただろう。ただ、このカップリングがなんとなくピンとこないのは私だけだろうか?二人ともよい演技者であったが。おそらくこれは個人個人の見解の違い。美しい映画を見たい人にお薦め。 |
左岸 |
江國の描く「右岸」のコラボ作品。50年に及ぶ時を、少女から母へと人生を重ねていく一人の女性の視点から描かれている。「右岸」と交錯していく時間と、けして交わらない時間は「両岸」を挟む「河」と呼ぶべき、それぞれの生きる時間の隔たりを感じさせる。辻の描いた作品に比べ読みやすく、感情移入もしやすかったものの、生と死、激動する周囲の環境には窮屈な世界観を覚えた。物語の完走はそれぞれ一冊では洗わせられない。2冊あわせた1000ページを読み終えて初めて充実した気分にさせられる。 |
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫) |
私はRossoを読んでからBluを読みました。この〈赤の物語〉のおかげで江國香織さんという類稀な作家に出会えて良かった。江國作品に一貫する叙情的で今にも感情が堰を切ってあふれ出し泣きだすような文章は、多分本作が最高ではないでしょうか。特に風景描写が素晴らしく美しい。 “また雨になりそうだ。木々の緑が風に枝ごと一斉に揺れる。不穏な音、水を含んだ空気の匂い。うす墨を流したような風の流れるミラノの街”“トルマリン色の朝” “午前二時のお風呂場は夜と湯気の匂い。私は途方に暮れて泣きたい気持ちになってしまう。こんなにそばにいるのに、こんなにちゃんと暮らしているのに” 江國さんは雨がとても好きらしく、どの作品にも必然的に雨の描写が書き込まれている。私は胸の中いる〈誰か〉の代わりに惰性で別の人を有するという生き方が大嫌いだけど、主人公が最後の最後できちんとそういった物事に決別して一人になったことは良かったと思う。一人になる事で真に自分がどうすべきかに気付き走り出す事が出来たのだから。 男性側の視点で書かれたBluは辻ファンでない限り好きにはなれない。本当は重いのに努めて軽く生きようとしているあおいに比べ、〈青の物語〉で描かれる順正は重苦しく何処までも後向き。これならドゥオモでいっそ出会わなくても良かったのでは、と思えるようなネガティヴ指向の男性に感じる。 二人とも心に住む愛する者の面影を求めて今傍らにいる恋人に傷を負わせてしまう同類の人間であり、その過ちに気付くのに10年の月日を要した。そんな愚かな部分も含めて「冷静と情熱のあいだ」の曖昧さを私は好きだと思う。一度は読んでみて。 |
ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ |
私的なベスト3は、第三位・金原ひとみ。若夫婦・光と葵が直面する葵の出産。怖い。ごく普通の出産が、物の怪なんかよりずっと怖くてリアル。葵のマタニティー・ブルーを、光は理解できない。ごく普通の愛し合う夫婦なのに。男と女はこうして千年わかり合えずにいるのだとリアルに感じてしまう。胎児の性別を聞いて、なぜかパニック状態に陥り、光に悪態をつく葵に対して光のかける言葉が「葵、やめなよ。赤ちゃんに聞こえる」。千年経っても男はこういう無神経さをさらけ出す。
第二位・桐野夏生。女三宮が過去を振り返る。かつては光源氏と言われた貴公子だった六条院様は“祖父というには早いですが、歳を取り過ぎて”いて、女三宮は“幼い時の紫の上様”と比べても“今の紫の上様”と比べてももの足りなく思われ、“六条院様に何度も叱られ、貶され、しているうちに、自信のない縮こまった”気持ちになる。老いて嫌みったらしく、嫉妬深くなっていく光源氏の描写は秀逸で、驚くばかり。みごとな黒源氏だ。 そして第一位・町田康。ファンの欲目を差し引いても、すごすぎる。末摘花に対する源氏の思い込みや妄想が町田節で展開するのだが、もう本当にこの人の日本語は凄いです、一字一句めちゃくちゃおもしろい。読んだそばから読み返します。末摘花の琴を他の部屋で聴いていた源氏が、命婦に「もっと聴きたいんだけど。っていうか、向こうの部屋で聴きたい。襖越しだと音がミュートされてよくわかんない」と言うと、命婦が「でもどうでしょうか。こういう貧乏な生活してるから服とかもあれだし、いま紹介するのって向こうに逆に悪い感じがするんですけど」と答える……ああもうっ、絶対読んでほしい。源氏や頭中将の嫌らしさも絶品で、ラストはなぜか一気に虚無的に。最高。 あれ?気がつくと、嫌な源氏ばかりがおもしろい。原典がとにかく源氏はベリークールって刷り込みだから、少し食傷気味だったのかも。 |
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