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映画「第七官界彷徨-尾崎翠を探して」予告篇




御身onmi
最後(10曲目)の「よみ人知らずの歌」は、
「第七官界彷徨」の尾崎翠(1896-1971)の詩に曲をつけたものです。

 

尾崎翠 [ちくま日本文学004] (ちくま日本文学)
文章が素直でぐいぐいひきこまれます。
とびぬけてエキセントリックでも個性的でもないのに、一度読み始めたら先が気になって途中でやめることができません。

まるでひとりひとりに話しかけているかのような語り口や、ものを見る目の鋭く、それでいて優しい、文章の背後にはっきりと見える透明な意識がとんでもなく魅力的です。

これだけの作品を書く人が、晩年は不幸だっというのが本当に切ないし、どんなにか辛かっただろうともう間に合わない今でも残念でなりません。

似たような感性で、同じような文章を書いたとしても、決して置き換えのできない尾崎ワールド。

「ブンガク」の力をひしひしと感じさせられます。

 

尾崎翠集成〈上〉 (ちくま文庫)
ある偶然のきっかけから尾崎翠さんの存在を知りました。今ではそのきっかけをくれた神様に感謝している次第です。本書に収録されている短篇の発表された年を後から確かめるとぶっ飛ぶのですが、古臭さや色褪せた感じは微塵もなし。逆に先鋭的であり、前衛的であり、「どうしたらこんな設定を思いついて、しかもそんな話が書けちゃうの?」というナニモノも超越した凄味をひしひしと感じるのです。戦後、尾崎さんの作品が「再発見」されて執筆の依頼が殺到したそうですが、それを拒否してしまう。惜しいことをしたと思うが、だからこそ、彼女の作品群がより特異な輝きを帯びつづけることになるのかも知れません。本書で残念だったのは、もう少し読み仮名を増やして欲しかったこと。浅学な私には読めない字句が山積してしまう有様。

 

尾崎翠集成〈下〉 (ちくま文庫)
昭和5、6年の「尾崎翠の世界」の集大成というべき「第七官界彷徨」から続く小野町子のシリーズのような独自性のある作品群は、この下巻にはありません。
しかし、彼女の作家活動の初期の素直な作品が、いろんなジャンルに渡って揃っています。その中には、先の作品の芽生えのようなものが所々で感じられます。
中でもチャーリー・チャップリンについて書いた「杖と帽子の偏執者」を読んでみると、何となく彼女の世界の本質と共通性が見えてくるようです。ユーモアとペイソスの綯い交ぜた作品です。初期の作品に見られる叙情性に軽さを持ち込み新たな作風を生み出したような気がします。後に筆を置いた後も、獅子文六や北杜夫の作品を求めたのも、それに通じるのかも知れません。

 

尾崎翠 動画


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尾崎翠 情報


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