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結婚物語 「忘れてた! 新婚旅行」 (2/6)




ほしのはじまり―決定版 星新一ショートショート
 中学生のころ愛読した星新一を今回30年ぶりに再読した。あのころの自分にすぅーっと戻ったような不思議な感覚。30年も前の文学作品を読めば、普通は、その時代背景、悪く言えば古臭さをどうしても客観的に捉えてしまうものだけど(それが面白くて読む場合が多いわけだけど)、星新一の場合、読後感が当時のまま、のような気がするのだ。これは作者の「時事風俗は書かない、固有名詞は書かない、性や殺人は描写しない、などの自己規制」によるものだとは思うけど、普遍性ってのとはちょっと違う気がする。時代を超えて生き続ける「古典」っていうのとは違って、冷凍人間とかタイムトラベルといったSF的なメタファーがしっくりくる、つまり、過去のものが過去と認識することなしに現在に再現される、といったような奇妙な読後感。
 それと関係するのかもしれないけど、SFがいま流行らないのって、もう未来に希望が持てない、現在の延長線上以外の未来ってものを想像出来ないからだよね。星新一のころって、シニカルではあっても、未来(SF)が寓話に成りえた時代であってさ。今は生臭い現実の延長線上にしか未来は想定出来なくって。星新一を新しいものとして読めてしまう現在って実は不幸なのかもしれない。あの1970年代でSF(未来)が実は終わってしまったのかもしれないと思えてしまう現在を生きる僕たちを、星新一が今生きていたらどう描くだろうか。
 しかし、星新一の作品は、レトリックはゼロで(ゼロというレトリックという言い方も出来るけど)、徹底してプロットってのがすごくて、それが反文学としてのSFだったわけだけど、未来も文学もあの時代で一旦終わっちゃったのかなぁって気がする。個々には「証人」のように、その後ビデオが普及した今では成立しないプロットもあるけど、「流行の鞄」なんて、恩田陸の「ドミノ」を思わせる。クールな作風は今の時代と親和性があるのかもな。

 

ひでおと素子の愛の交換日記 (角川文庫)
吾妻ひでおさんと新井素子さんの共著ですが、基本的には新井さんのエッセイに吾妻さんが挿絵、漫画をつけたという構成です。新井さんはこの頃まだ、立教大学の学生だったのですね。池袋のエピソードなど面白いです。旅行に行った際のエピソードにしても面白いです。問題は、不条理的な面白さといいますか、読む側の心構えがなってないと、なんじゃこれ、になってしまいそうな気がします。実は、この本以前に読んだのですが、今回読み直して、どうも読みづらさを感じてしまいました。此方の受信装置がいまひとつ冴えていなかったことも原因とは思われますが・・・。文庫本のせいか、吾妻さんの絵のセリフが小さくて読みづらいというのも原因としてあるかもしれません。編集者との楽屋ネタも沢山出てきますが、こういうのも受け入れられるかどうかは、その時の気分が結構影響するように思われます。

 

窓のあちら側 (ふしぎ文学館)
収録作:「グリーン・レクイエム」「ネプチューン」「雨の降る星 遠い夢」「季節のお話 一月、八月、十二月」「眠い、ねむうい由紀子」「影絵の町にて」「大きなくすの木の下で」
熱心なファンなら、単行本未収録作(後ろの3つ)目当てで即購入でしょう。
一方、最初の3作は新井さんの短編の代表作といえるものなので、「新井さんの作品に興味はあるけど、どれから読んだらいいのか分からない」という人には、この本はピッタリだと思います。これらの作品が気に入られたなら、初期の長編(コメディ・タッチで、文章も軽めですが、作品のトーンは共通するものが多い)も気に入ると思いますよ。

 

新井素子 動画


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新井素子 情報


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