Beyond the Pale (The Dragon Heart Saga - Shodowrun , No 3) |
サイバーパンク・ロールプレイングゲーム『Shadowrun』の世界を題材にした小説、Dragon Heart Saga三部作の最終巻です。原作である"Shdowrun"はサイバーパンクの中にファンタジー要素を持ち込み、ユニークでシニカルな近未来社会を描き出しましたが、この三部作は大きく趣を変え、ファンタジーの面だけに光を当てています。主人公Ryanは、暗殺されたカナダ・アメリカ合衆国大統領Dunkelzahn(グレートドラゴン!)の遺志に従い、人類の仇敵である異界からの侵略者たちを世界の果てで一人で防ぎ留めている女性Thaylaを救うために、Dunkelzahnの遺品(竜の心臓)を届けようとします。しかし、彼女の元へ行く方法はわからず、一方で侵略者の手先となった人間たちはThaylaを亡き者にするための準備を着々と進めていたのでした。物語の始まりではばらばらな場所にいた登場人物たちが、一つの場所に集い、それぞれの物語がクライマックスへと集約していきます。まさにエピック・ファンタジーの醍醐味という展開を見せてくれます。辛めの点数をつけた理由は、ファンタジー小説としてみるには"Shadowrun"についての知識が必要とされる個所が多く単独で成り立つ作品ではないこと、"Shadowrun"小説としては原作ゲームの雰囲気と大きく違っていることがあります。1994から1998年の"Shadowrun"製品で展開された2つのプロット「異界からの侵略」「大統領選挙」に幕を下ろす作品ですので、"Shadowrun"世界が好きで設定について大きな事件なら何でも知っておきたい方や、"Shdowrun"のファンタジー面に心惹かれる方は面白く読めると思います。 |